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電験3種電力問題 H21年 問4

電力H21年
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問題

次の文章は、原子力発電に関する記述である。

原子力発電は、原子燃料が出す熱で水を蒸気に変え、これをタービンに送って熱エネルギーを機械エネルギーに変えて、発電機を回転させることにより電気エネルギーを得るという点では、( ア )と同じ原理である。

原子力発電では、ボイラの代わりに( イ )を用い、( ウ )の代わりに原子燃料を用いる。

現在、多くの原子力発電所で燃料として用いている核分裂連鎖反応する物質は( エ )であるが、天然に産する原料では核分裂連鎖反応しない( オ )が99%以上を占めている。

このため、発電用原子炉にはガス拡散法や遠心分離法などの物理学的方法で( エ )の含有率を高めた濃縮燃料が用いられている。

上記の記述中の空白箇所(ア)(イ)(ウ)(エ)及び(オ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせてのはどれか?

(1)(ア)汽力発電 (イ)原子炉 (ウ)自然エネルギー (エ)プルトニュウム239 (オ)ウラン235

(2)(ア)汽力発電 (イ)原子炉 (ウ)化石燃料 (エ)ウラン235 (オ)ウラン238

(3)(ア)内燃力発電 (イ)原子炉 (ウ)化石燃料 (エ)プルトニュウム239 (オ)ウラン238

(4)(ア)内燃力発電 (イ)燃料棒 (ウ)化石燃料 (エ)ウラン238 (オ)ウラン235

(5)(ア)太陽光発電 (イ)燃料棒 (ウ)自然エネルギー (エ)ウラン235 (オ)ウラン238

基礎知識

天然のウランは、「ウラン234」と「ウラン235」及び「ウラン238」の3種類があります。

ただ、「ウラン234」は0.0054%と無視できるくらい少ないの、無視しています。

問題文中にある、核分裂しやすく核分裂連鎖反応を起こすのは「ウラン235」です。

この「ウラン235」は、0.7%と少量しか存在しません。

残り99%は、核分裂しにくい「ウラン238」です。

ここで雑学です。

「ウラン235」と「ウラン238」の違いですが、中性子の数が違うのです。

ウランの原子番号は92です。よって、陽子の数が92個ということです。

「ウラン235」の中性子の数は、$235-92=143$ 個です。

同様に、「ウラン238」の中性子の数は、$238-92=146$ 個です。

また本題に戻ります。

中性子の数の違いは質量のわずかな違いになって現れます。

この質量の違いを利用して、ガス拡散法や遠心分離法を用いて分離できます。

原子力発電に用いられる濃縮燃料の「ウラン235」の濃度は2~4%くらいです。

これを固めて、原子力発電の燃料に使っています。

次に、選択肢の中に出てくる「プルトニウム239」についてです。

この「プルトニウム239」は自然界にわずかに存在するのですが、大半は原子炉の中で作られたものです。

使用済み核燃料の中にのみ存在すると言っても過言ではないのです。

この「プルトニウム239」と燃え残りの「ウラン235」を取り出して、核燃料として再利用しようと言うのが、プルサーマルです。

プルトニウムの「プル」とサーマルニュートロン・リアクター(熱中性子炉)の「サーマル」をくっつけた和製英語だそうです。

この「プルトニウム239」と「ウラン235」の混合燃料がMOX燃料と呼ばれています。

解答

正解は(2)

(ア)「タービン」とくれば一般的には「ボイラ」ですね。後にも「ボイラ」の文字が出てきます。

「ボイラ」ー「タービン」は汽力発電です。

(イ)原子力発電で蒸気を作っている所は原子炉です。

ちなみに、ボイラで蒸気を作っている所は火炉と呼ばれています。

(ウ)ボイラで使われている燃料は、石油、石炭、天然ガスが思い浮かぶと思います。

これら全て、化石燃料です。

(ア)~(ウ)まで、半分は一般常識と半分は国語の問題ですね。

よく意味をくみ取り、冷静に判断してください。

(エ)一般の原子力発電で用いられる燃料は「ウラン」です。

核分裂連鎖反応するのは、「ウラン235」の方です。

(オ)核分裂連鎖反応しないのは、「ウラン238」の方です。

少しでも軽い方が、身軽に核分裂できると言うことでしょうか?(意味のない一文)

まとめ

原子力発電の一般的な問題ですね。

(ア)~(ウ)まででも正解にたどり着けるように組んでありますね。

(ア)ボイラを使っている、内燃力発電や太陽光発電はありません。

(イ)燃料棒は原子炉で使う燃料で、核燃料を固めてチップにし、筒に埋め込んだ棒です。

(ウ)自然エネルギーと言えば、太陽光や風力を連想しますよね。

ラストの(エ)と(オ)は正解か否かを確認するために存在しているかのごとくです。

このような、ラッキーと言える問題も存在するので、取りこぼしのないように。

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