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電験3種電力問題 H21年 問8

電力H21年
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問題

22(33)〔KV〕配電系統に関する記述として、誤っているのはどれか?

(1)6.6〔KV〕の配電線に比べ電圧対策や供給力増強対策として有効なので、長距離配電の必要となる地域や新規開発地域への供給に利用されることがある。

(2)電気方式は、地絡電流抑制の観点から中性点を直接接地した三相3線方式が一般的である。

(3)各種需要家への電力供給は、特別高圧需要家へは直接に、高圧需要家へは途中に設けた配電塔で6.6〔KV〕に降圧して高圧架空配電線路を用いて、低圧需要家へはさらに柱上変圧器で200~100〔V〕に降圧して、行われる。

(4)6.6〔KV〕の配電線に比べ33〔KV〕の場合は、負荷が同じで配電線の線路定数も同じなら、電流は $\cfrac{1}{5}$ となり電力損失は $\cfrac{1}{25}$ となる。電流が同じであれば、送電容量は5倍となる。

(5)架空配電系統では保安上の観点から、特別高圧絶縁電線や架空ケーブルを使用する場合がある。

基礎知識

低圧とは、100〔V〕か200〔V〕のことです。

高圧とは、交流で700以上7000未満〔V〕のことで、一般的に6600〔V〕(6.6〔KV〕)です。

特別高圧とは、7000〔V〕以上の電圧で、一般的に22〔KV〕33〔KV〕又は66〔KV〕77〔KV〕です。

(ちなみに、電験3種では5000〔V〕まで扱えますので、33〔KV〕までは守備範囲です。)

配電(送電)で問題になるのは、電流です。それも、有効電流ではなく皮相電流の方です。

皮相電力は、三相交流の場合、$S=\sqrt{3}\ V\ I$ と表すことができます。

この式からも分かるように、同じ電力を配電(送電)するのに、電圧を上げると電流は小さくなります。

電圧を倍にすると、電流は半分になるということです。

電流が少なくなると、配電(送電)損失が減ります。

配電(送電)損失とは、主に電線の抵抗分で発生するジュール熱のことです。

(他にもありますが、今はこれだけを考えましょう。)

配電(送電)損失は、電線の抵抗分を $R$ として、電流を $I$ とすると、 $I^2\ R$ になります。

また、電流を少なくすると配電(送電)線を細くできるので、経済的です。

次に、中性点接地について見ていきましょう。

変圧器2次側の中性点と接地の間の点線四角に何が入るか?の話です。

中性点接地には、非接地方式、直接接地方式、抵抗接地方式、リアクトル接地方式があります。

1、非接地方式は、読んで字のごとく中性点接地をしていません。(何も入りません。)

特徴として、

・1線地絡時に健全相の対地電圧が相電圧の $\sqrt{3}$ 倍になります。これは、他の中性点接地方式の中で最大です。

・1線地絡電流が系統の対地静電容量のみとなり、小さい。

よって、6.6〔KV〕以下の電圧に用いられています。

2、次に、直接接地方式です。これも読んで字のごとく、中性点を直接接地しています。(電線が入ります。)

特徴は、

・1線地絡電流が大きい。これは、他の中性点接地方式の中で最大です。

・1線地絡時の健全相の対地電圧が、あまり変わらない。

187〔KV〕以上の超高圧に用いられています。

3、抵抗接地方式についてです。中性点と接地の間に抵抗を入れています。

特徴は、

・間に入れる抵抗値により、1線地絡電流と1線地絡時の健全相電圧上昇を調整できる。

非接地方式と直接接地方式の中間の特性をもつので、22〔KV〕から154〔KV〕くらいの特別高圧級以上に用いられています。

4、リアクトル接地方式は、中性点と接地の間にリアクトル(コイル)を入れています。

電線と大地間には、対地静電容量(コンデンサ)を持ちます。

そこに、リアクトル(コイル)を入れることにより、1線地絡電流を抑えることができます。

消弧リアクトル接地方式と、補償リアクトル接地方式の2つがあります。

66〔KV〕から154〔KV〕の電圧に用いられています。

最後に余談ですが、電線とケーブルの違いを少し。

電線は、導体を絶縁物で被覆したもので、ケーブルは導体を絶縁物で被覆した上に外装で保護したものだそうです。

ケーブルの方が安全性が高いと言えます。

解答

正解は、(2)が誤りです。

(1)配電(送電)において、高圧で送る方が電流が少ないので電圧降下 $IZ$ も少なく、供給力 $VI$ も大きくなる。

(2)22(33)〔KV〕級の配電(送電)においては、抵抗接地方式かリアクトル接地方式が用いられています。

また、地絡電流抑制を考えるならば、非接地方式が一番少なく、直接接地方式が最も大きくなります。

(3)22(33)〔KV〕は特別高圧になり、6.6〔KV〕が高圧、100又は200〔V〕が低圧です。

(4)33〔KV〕は6.6〔KV〕の5倍なので、負荷が同じなら、電流は $\cfrac{1}{5}$ になります。

電力損失は、$I^2\ Z$ より $\cfrac{1}{25}$ になります。

送電容量は、$I\ V$ より5倍です。

(5)特別高圧絶縁電線は特別高圧用の電線です、また架空ケーブルは電線より安全であるため特別高圧にも用いられています。

まとめ

候補として挙がってくるのは(2)と(4)だと思います。

基礎知識の項をよく読んでおいてください。

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