スポンサーリンク

電験3種電力問題 H21年 問14

電力H21年
スポンサーリンク
スポンサーリンク

問題

個体絶縁材料の劣化に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか?

(1)膨張、収縮による機械的な繰り返しひずみの発生が、劣化の原因となる場合がある。

(2)個体絶縁物内部の微小空げきで高電圧印加時のボイド放電が発生すると、劣化の原因となる。

(3)水分は、CVケーブルの水トリー劣化の主原因である。

(4)硫黄などの化学物質は、個体絶縁材料の変質を引き起こす。

(5)部分放電劣化は、絶縁体外表面のみに発生する。

基礎知識

個体絶縁材料として、一般的に磁器、合成ゴム、ビニール等が思い出されます。

その中で、(3)に出てくる「CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)」はよく問題に出てきます。

架橋ポリエチレンとは、絶縁性能に優れたポリエチレンを架橋処理(分子を網目状構造にすること)を施し、耐熱性能を高めた絶縁材料です。

また、(3)に出てくる「水トリー」もよく問題に出てくる言葉です。

架橋ポリエチレン絶縁体の内部微小空げき(ボイドとも言う)や表面の傷に水分が侵入し、そこに局部的な高電界が発生し局部的な放電に至ります。

この劣化が、樹枝状に発展することから「トリー」と呼ばれており、水を原因とするものを「水トリー」と言います。

水トリーは、ケーブル表面から発生すると「外導水トリー」と呼ばれ、心線部分から発生すると「内導水トリー」と呼ばれます。

また、絶縁体内部から発生すると、蝶ネクタイのごとくに両方に発展することから「ボウタイ状水トリー」と呼ばれます。

水の他に劣化を引き起こす原因には、化学物質、熱、応力等があります。

化学物質で有名なのが硫黄で、硫化物が銅と反応することで硫化銅を生成し、硫化銅がポリエチレンを押し広げてトリー状に成長します。

これは、電圧が無くても発生し、「化学トリー」の代表となります。

解答

誤っているのは(5)です。

(1)碍子等を考えると、ひずみが劣化の原因になります。

(2)絶縁物内部に微小空げきがあると電界にひずみが発生し、放電による劣化の原因になります。

(3)水によるトリー状劣化を水トリーと呼んでいます。

(4)硫黄などの化学物質が材料の変質を招くことは容易に考えられるとしておきます。

良い例が見つからりません。

(5)部分放電が絶縁体外表面しか起こらないとすると、(2)のボイド放電が絶縁物内部に起こる記述と矛盾します。

まとめ

これは、サービス問題に分類されると思います。

(2)と(5)の記述に矛盾がありそうだと気付けば、自然と(5)が誤りであるとなります。

コメント

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク