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電験3種電力問題 H21年 問6

電力H21年
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問題

電力系統における変電所の役割と機能に関する記述として、誤っているのはどれか?

(1)構外から送られる電気を、変圧器やその他の電気機械器具等により変成し、変成した電気を構外に送る。

(2)送電線路で短絡や地絡事故が発生したとき、保護継電器により事故を検出し、遮断器にて事故回路を系統から切り離し、事故の波及を防ぐ。

(3)送変電設備の局部的な過負荷運転を避けるため、開閉装置により系統切替を行って電力潮流を調整する。

(4)無効電力調整のため、重負荷時には分路リアクトルを投入し、軽負荷時には電力用コンデンサを投入して、電圧をほぼ一定に保持する。

(5)負荷変化に伴う供給電圧の変化時に、負荷時タップ切換変圧器等により電圧を調整する。

基礎知識

「建職バンク」の「変電所とは?仕組みや設備、電磁波の危険性についてを解説!」

に、問題文と似た箇所がありますから、読んでみてください。

そこに、変電所の役割として「電圧変性」「電圧調整」「調相」「潮流調整」「系統保護」の5項目が上がっています。

覚えられる人は、覚えておいてください。

電圧は、変圧器がある変電所により調整することができます。

と言うより、電圧を変更するところが変電所ですよね。

送電電圧の高い電圧として、500KVまであります。

それをいくつかの変電所を経て、100Vや200Vに下げて家庭に送られているのですから。

500KVを275KVに落とす(電圧の階級を変える)のを「電圧変性」と言います。

また、100V電圧とは、101 $\pm$ 6Vの範囲と決められています。

それが、95Vまで下がったら上げなくてはなりません。

それが、6600Vが6000Vに下がったからだとすると、6600Vに戻さないといけませんよね。

電圧の階級を変えずに、調整することを「電圧調整」と言います。

また、送電電力を考えるときに無効電力も問題になります。

無効電力が多くなると、皮相電力も多くなります。

言い方を変えると、無効電流が多くなると、皮相電流も多くなります。

送電できる電流量は、決まっているので電線の性能により決まっています。

すると、送電電力の内、無効電力が増えると、有効電力が少なくなってしまいます。

無効電力の調整も、変電所でもできます。

これを「調相」と言います。

次に「潮流調整」です。

「潮流」とは、有効電力及び無効電力を含めた電力の流れのことです。

一般的には、発電所から需要所(各家庭)に向かって流れていますが、

太陽光発電で余った電力を売電(電力を母線側に繰り出す)ときに、「逆潮流」と呼ばれます。

物凄く大雑把に言うと、電気の流れです。

その「潮流」を「調整」するとは、ある変電所に負荷が偏らないよう、流れを変えることです。

昔は、樹脂状(放射状)配電が主流だったので、ある「子変電所」の「親変電所」は一つだったのです。

これだと、ある「親変電所」が故障すれば、それにぶら下がっている「子変電所」が全て停電します。

それを避けるために、ネットワークが組まれる所が出てきています。

ネットワークが組まれると、ある「親変電所」の負荷が増えてくると、ある「子変電所」を他の「親変電所」に付け替えることもできるようになります。

これが、「潮流調整」です。

最後に、「系統保護」です。

これは、ある「子変電所」の負荷側で事故が起きた場合に、その「子変電所」で事故が起きた負荷を切り離し、「親変電所」に被害が及ばないようにすることです。

「保護協調」にも通じる考え方で、事故が起きた箇所のすぐ上流側の遮断器で事故地点を切り離し、他に被害を拡大させない、ということです。

小は各家庭のブレーカーから、大は変電所まで、送電(配電)での一貫した考え方です。

解答

正解は(4)が誤りです。

(1)「電圧変成」のことです。

変電所の最も基礎的な機能です。

基本的には、高圧で受けて低圧で送り出す。のが変電所です。

(2)「系統保護」のことです。

送電現場では、地絡事故や短絡事故が起きると、瞬時に「子変電所」はもとより「親変電所」にも影響が出ます。

よって、いかに早く事故点だけを切り離すか、が研究されているみたいです。

(3)「潮流調整」のことです。

基礎知識の通りです。

(4)「調相」のことです。

一般に負荷とは、遅れ無効電力を含みます。

遅れ無効電力とは、コイルによって作られる無効電力です。

そして大きな負荷と言えば、電動機のことです。

電動機はコイルからできているので、負荷と言えば遅れ無効電力を含むことになります。

多くの需要家では、遅れ無効電力を打ち消すために、進相(電力用)コンデンサを設けています。

それでも、重負荷の場合は、遅れ無効電力が問題になるので、電力用コンデンサを投入して遅れ無効電力を打ち消します。

また、軽負荷の場合は、各需要家設置された進相(電力用)コンデンサの影響で、進み無効電力が問題になってきます。

進み無効電力の何が問題か?ですが、進み無効電力を含む電路では、フェランチ効果の影響で送電端電圧より受電端電圧の方が高くなることがあるからです。

この時に活躍するのが、分路リアクトルです。

重負荷時には電力用コンデンサで、軽負荷時には分路リアクトルです。

問題文は、逆になっています。

(5)「電圧調整」のことです。

問題文の通りです。

まとめ

始め問題文を読んだときに変電所でやっていないことを探したのでが、意味が違っていました。

全て変電所の役割に含まれていることでした。

問題文を落ち着いて読むことが、いかに大切か、を教えてくれる問題でした。

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