問題
抵抗値の異なる抵抗 $R_1$ と $R_2$ を図1のように直列に接続し、30〔V〕の直流電圧を加えたところ、回路に流れる電流は6〔A〕であった。
次に、この抵抗 $R_1$ と $R_2$ を図2のように並列に接続し、30〔V〕の直流電圧を加えたところ、回路に流れる電流は25〔A〕であった。
このとき、抵抗 $R_1$ 、$R_2$ のうち小さい方の抵抗〔Ω〕の値として正しいのはどれか?
(1) 1 (2) 1.2 (3) 1.5 (4) 2 (5) 3
この問で必要な公式
公式① $I=\cfrac{V}{R}$ 〔A〕(オームの法則)
公式② 抵抗の直列接続 $R=R_1+R_2$
抵抗の並列接続 $R=\cfrac{R_1\times\ R_2}{R_1+\ R_2}$
公式③ 解の公式 $ax^2+bx+c=0$ のとき
$x =\cfrac {-b \pm \sqrt{b^2-4ac}}{2a}$
解答
正解は、(4)
図1より、公式① $I=\cfrac{V}{R}$ 〔A〕を利用して
$6=\cfrac{30}{R_1+R_2}$ ・・・・①
図2より、公式① $I=\cfrac{V}{R}$ 〔A〕を利用して
$25=\cfrac{30}{\cfrac{R_1\times R_2}{R_1+R_2}}$ ・・・・②
①式より $(R_1+R_2)\times 6=30$
$R_1+R_2=\cfrac{30}{6}=5$ ・・・・③
②式より $25=\cfrac{30\times(R_1+ R_2)}{R_1\times R_2}$ ・・・・④
④式に③式を代入して
$25=\cfrac{30\times\ 5}{R_1\times R_2}$
$25\times\ (R_1\times R_2)=150$
$R_1\times\ R_2=\cfrac{150}{25}=6$ ・・・・⑤
③式より $R_2=5-R_1$ ・・・・⑥
⑤式に⑥式を代入して
$R_1\times (5-R_1)=6$
$-R_1^2+5R_1-6=0$
解の公式を利用して
$x =\cfrac {-5 \pm \sqrt{5^2-4\times (-1)\times (-6)}}{2\times (-1)}$
$x=\cfrac{-5 \pm \sqrt{25-24}}{-2}=\cfrac{5 \pm 1}{2}$
$x=3\ or\ 2$
$R_1=2$ ならば $R_2=3$ となり、$R_1=3$ ならば $R_2=2$ となります。
よって、小さい方の抵抗は、2Ω となります。
解説
公式①は、オームの法則です。
(「電流は、電圧に比例し、抵抗に反比例する」と、私は文章で覚えています。)
公式②は、抵抗の直列・並列接続の合成抵抗の式です。
以上は、電験を受験するならば、当然覚えているべき公式です。
説明を省略します。と、言いたいのですが、それでは身も蓋もないので。
公式②の抵抗について、少し書いておきます。
抵抗は、$R=\rho\cfrac{l}{S}$ と表すことができます。
$\rho$ は抵抗率で、単位は〔Ω・m〕です。
$l$ は抵抗の長さで単位は〔m〕、$S$ は抵抗体の面積で単位は〔m²〕です。
並列接続では、面積が足されることになります。
上の図から、そのようにイメージしてください。
式で表すと、
$\cfrac{1}{R}=\cfrac{1}{R_1}+\cfrac{1}{R_2}$
$=\cfrac{S_1}{\rho\ l}+\cfrac{S_2}{\rho\ l}=\cfrac{S_1+S_2}{\rho\ l}$
となります。
抵抗が2つの並列接続の場合は、$R=\cfrac{R_1\times\ R_2}{R_1+\ R_2}$ で計算できます。
抵抗が3つ以上の並列接続の場合は、$\cfrac{1}{R}=\cfrac{1}{R_1}+\cfrac{1}{R_2}+\cfrac{1}{R_3}$ で計算しましょう。
抵抗の直列接続の場合は、長さが足されることになります。
これも、上の図からそのようにイメージしてください。
式で表すと、
$R=R_1+R_2$
$=\rho\ \cfrac{l_1}{S}+\rho\ \cfrac{l_2}{S}=\rho\ \cfrac{l_1+l_2}{S}$
となります。
何となく、簡単なものを複雑に説明している気がしますが、
$R=\rho\cfrac{l}{S}$ は、どこかで覚えないといけない公式ですから、ご勘弁を。
また、高校の時に習った「解の公式」ですが、たまに出てくるので確認しておいてください。
今回の場合は、$-R_1^2+5R_1-6=0$ に $-1$ を掛けて、
$R_1^2-5R_1+6=0$ として、因数分解すれば、
$(R_1-3)(R_1-2)=0$ となります。
実際の試験の時は、因数分解が早いと思えば因数分解で、
因数分解を思い付かないときは、「解の公式」で解いてください。
まとめ
この問題は、サービス問題ですね。
計算間違いで、せっかくのサービス問題を落とさないようにしましょう。
コメント